世界最悪の財政赤字
経営のPEST分析は、経営をとりまく外部環境の要因をPESTのPolitics
(政治的要因)、Economy(経済的要因)、Society(社会的要因)、
Technology(技術的要因)の4つの視点から分析しようとするものです。
そのねらいは、外部環境の変化などを把握し事業の目的、方針、目標
などを明確にし、経営戦略を策定することです。
今回は、P(政治)を取り上げたいと思います。
事業活動の規制、市場のルールなどを変化させる国の政策、法律、税制、
外交の動向などが、自社に影響を及ぼす要因を把握、分析します。
今の日本は、物価の高騰、円安の進行の中で「世界最悪の財政赤字」の
状況にあります。物価が上昇しても賃金が上がれば問題はありませんが、
日本人の給料はこの30年上がっておりません。その理由は日本のGDP
(国民総生産)がほとんど増えていないことにあります。この30年のGDB比
を見ると米国は3.7倍、豪州5.2倍、韓国8.5倍、中国に至っては51.2倍
(1991年VS2021年自国通貨ベース)になっていますが、日本はわずかに
1.1倍です。
こういう状況の中で、財政法第4条では「国の歳出は、公債または借入金
以外の歳入をもって、その財源としなければならない」と国債発行を禁止し
ているにも関わらず、政府は特例法で赤字国債を発行し続けています。
その結果、日本の債務残高は1250兆円を超えGDPの250%を超えています。
今の日本の財政状況は、世界のなかで飛びぬけて悪く、太平洋戦争末期の財政
よりも悪化しており、この日本でわずか70年前に起こったハイパーインフレ、
国の財政破綻が懸念され、悪夢の再来が心配されています。
このような政治状況は、金融、為替、税金、社会保障、労働力などのヒト
モノカネの経営資源を不安定化し、景気低迷をより深くしてゆくか、壊滅的な
経済状態を引き起こし、経営活動の危機的大混乱が起こり、高度の経営判断
が求められることになります。